Interview
インタビュー

夢があるからお金を諦める……はNG!電通を辞めて独立!給料が減っても、借金1000万円でも続けられる理由〈Chapters代表・森本萌乃/第1話〉

ログインすると、この記事をストックできます。

ずっとやってみたかったことや、思いついた素敵なアイディアを夢だけで終わらせない心のあり方と、成し遂げるために必要な行動とは?

プロフィール

株式会社MISSION ROMANTIC代表/Chapters書店主人 森本萌乃森本萌乃

株式会社MISSION ROMANTIC代表/Chapters書店主人。1990年東京生まれ。書店×マッチングのプロトタイプとなるマッチングサービスをアナログで立ち上げ、「本棚で手と手が重なるように出会えるオンライン書店・Chapters bookstore」を21年6月にオープン。現在20〜30代の独身男女に本を通じた出会いを提供。

本を通じた出会いを提供する、マッチングサービス「Chaptersbookstore(以下チャプターズ)」を立ち上げた、株式会社MISSION ROMANTICの代表、森本萌乃さん。

大手広告代理店・電通に入社した後、外資系起業とスタートアップの会社への二度の転職を経験した森本さん。2つめの転職先で働きながら、「『耳をすませば』のようなロマンチックな出会いを提供したい」と、起業に踏み切り、チャプターズをリリース。

夢をカタチにする方法を伺いながら、その裏側にある日々の苦労、課題を今まさに乗り越えて邁進する姿に触れました。

*全3話 2話はこちらからどうぞ

仕事や人生にモヤモヤを抱えたままじゃもったいない

ライター顔写真

新卒で第一志望だった大手広告代理店に入社されたんですね。その時点で、端から見ると、人生の勝ち組のような印象があります。

インタビュアー顔写真

確かに内定者の時は人生で一番強気でしたね(笑)。入社後は、広告代理店の仕事が同時進行で、しかも一つのプロジェクトのために何十個もの企画を徹夜しながら考える生活に疑問を感じてしまって。私はそこに楽しさを見出せなかったんです。

ライター顔写真

やりたいことがやれていたわけではなかった?

インタビュアー顔写真

やりたいことをやるというより、企画が世に出た瞬間にそれまでの苦労の全てが報われるから、そこに向けて猛烈に働いていたという感じです。

ライター顔写真

やりたいことではなく、目の前の達成感のために働いてたわけですね。

インタビュアー顔写真

そう。広告代理店で働くうちに、私がやりたいのはBtoB(企業が企業に対してモノやサービスを提供するビジネスモデル)ではなくてBtoC(企業がモノやサービスを一般消費者に直接提供するビジネスモデル)だということに気がついたんです。

ライター顔写真

お客様の喜びの声が直接自分には届かなかったからだと別のインタビューでお話されていましたが?

インタビュアー顔写真

そうなんです、 広告代理店の仕事はずっと黒子で私たちのクライアントは大手企業。その先にいるユーザーに直接コンタクトすることはありませんでした。
でも、イベントや多くの現場を経験させて頂く中で、 直接ユーザーが喜ぶ姿を目の当たりにして。クライアントと向き合って大きなお金が動くビジネスとしてのやりがいよりも、目の前にいるひとりがニッコリする姿を見られるほうが幸せだな、自分に合っているなと思ったんです。

ライター顔写真

それで転職を2度してやりたいことができる場所を模索されたんですね。具体的に、起業に向けて動き出したきっかけは何でしたか?

インタビュアー顔写真

金曜ロードショーで「耳をすませば」を見て。こんなロマンティックなことがしたいと思いました。そう、本棚に並ぶ同じ本に、偶然手を伸ばす瞬間のような、出会いを生み出せたら、そのことに日々関われる自分はきっと最高に幸せだし、これなら心血注げそうだなあと思ったんです。

ライター顔写真

いきなり独立されたのですか?

インタビュアー顔写真

いえ、まずは副業という形でスタートしました。当時働いていたスタートアップでのキャリアと同時並行で、主に休日を使って活動していましたね。
同じ本を読んでもらい、おしゃれな飲食店での出会いをセッティング。コロナ前だったのですべて手動で、リアル開催をしていました。

ライター顔写真

最初から収益は出ていましたか?

インタビュアー顔写真

いただく会費でトントン。私の人件費はまったく出ていませんでしたので、大赤字ですね。

夢があればお金はいらないなんて嘘!お金は大事

ライター顔写真

副業から本業へ、契約社員を辞めてチャプターズに絞ったのは事業が回りはじめたからですか?

インタビュアー顔写真

それが……全然違うんです!コロナ禍の緊急事態宣言が出るか出ないかのタイミングで解雇されたんです。だから、もう、やるしかなくなった。自分の会社に一本化する準備なんて全く整っていませんでした。

ライター顔写真

どうやってこれまで運営してきたんですか? 資金は?

インタビュアー顔写真

最初はベンチャーキャピタルからの投資を目指したのですが難しくて、銀行からお金を借りることにしました。借入先は支援が手厚くて借りやすい日本政策金融公庫です。あとは、融資が決定の前後くらいに個人投資家の人が「この事業に投資したい」と言ってくれて。その時は「この事業に先見の明がある」と太鼓判を押されたような気持ちになってとても心強かったです。

ライター顔写真

ち、ちなみに、聞くのが怖いけど聞いちゃいます。その時、いくらくらい借りたんですか?

インタビュアー顔写真

自分の当時の貯金からの持ち出しも含め、全体で1000万円ちょっとくらいですね。

ライター顔写真

1000万円……。でも、お金のことは先回しにしてでもまずは「『耳をすませば』のような出会い」を実現させたかったわけですね。

インタビュアー顔写真

そう言うと聞こえがいいですが、 夢があればお金がなくてもいい、なんて全く思ってません(笑)。
スタートアップの会社ってほとんど大赤字からはじまるんです。事業計画を描く際にJカーブという言葉があるのですが、最初にリスクを負って赤字を掘る、ただその掘った分の赤字を「J」の文字通り成長曲線としてあげていく考え方です。
今となっては、自社がスタートアップなのかなんなのか分からない状態ですが、当時はその考え方に則り、しゃがんだ分ジャンプできると信じていたので、お金は借りれるだけ借りたいと考えていましたね。

ライター顔写真

なるほど。チャプターズが始まって1年が過ぎたそうですが、今は少しずつ上向きな感じ?

インタビュアー顔写真

厳密に言えば、1人でやるなら食べていくくらいはなんとかなっていますね。でも、昨年新卒をフルタイムの社員として雇ったので、自分が食べていくにはまだまだしんどいです。

ライター顔写真

ご自身の生活費はどうしているんですか?

インタビュアー顔写真

元々のプランニングやPRのスキルを活かし、外部の会社さんから仕事を請け負ったりしています。必死ですよほんと。

ライター顔写真

日本には、清貧という言葉もありますが、そういう意識なわけではないんですよね。

インタビュアー顔写真

清く貧しくなんて、そんなのありえないですよね。絶対ダメですそんなの!(笑)お金は絶対に大事だし、夢があるから諦めなくてはいけないものではないんです。私の会社はロマンチックを掲げ、一見お金とは無縁のような経営していますが、大切なのはこの夢で食べていくこと。難しそうだからこそ、趣味や自己満足で終わらせずきちんとビジネスとして成立させたいんです、稼ぐことは善であって決して悪ではないですよね。

ライター顔写真

最終的には好きなことをやって稼げていることがやっぱり目標ですよね。そこって大事。

インタビュアー顔写真

そうそう。最初からやりたいこととお金を同時に追わないというだけで、私も、40代はもうちょっと余裕のある生活を送っていたいと思っています。

ピンチの時、誰かが助けてくれるのはなぜ?

ライター顔写真

前の会社を契約終了になって 起業せざるをえなくなったり、個人投資家が登場したり、と、森本さんの起業は、要所要所でピンチがチャンスになっているように見えます。やりたい仕事ができている人って皆どこか、そういうLUCKがあるように思えますが。

インタビュアー顔写真

そういうふうに見えるかもしれませんが、実際は多分、「頑張っている人がピンチになると、誰かが助けようとする」ってことなんだと思います。

ライター顔写真

さほど大変そうじゃないとか、本気で頑張ってないとか、そういうのは人にわかると。

インタビュアー顔写真

人間の真理として、「まあ大丈夫か」ってタイミングだと気に掛ける程度で終わってしまうけど、「あいつ大丈夫?!」と本当にやばそうだなって思った瞬間、助けたくなりませんか?だから私、多分本当にやばそうだっただけだと思います(笑)。

ライター顔写真

ご自身も、人が困っていたらヘルプするほうですか?

インタビュアー顔写真

そうですね。ポリシーといったら大袈裟かもですが、私自身就職活動でOBOG探しにとても苦労したので、悩んでいる学生にはなるべく手を差し伸べたいと思っています。

ライター顔写真

過去の自分を助けたい、っていう思いは起業にもつながっていますか?

インタビュアー顔写真

そうですね、20代の自分がマッチングサービスを使っていたときのやるせない気持ちがそのまま 今の仕事に結びついていますから、そうかもしれません。

ライター顔写真

人生のピンチは、チャンスにもなれば、その後の生き方の指針にもなるということですね。

インタビュアー顔写真

そうですね!

取材/I am 編集部、MARU

文/MARU

写真/田尻陽子

この記事を書いた人

MARU
MARU編集・ライティング
猫を愛する物書き。独立して20年。文章で大事にしているのはリズム感。人生の選択の基準は、楽しいか、面白いかどうか。強み:ノンジャンルで媒体を問わずに書けること、編集もできること。弱み:大雑把で細かい作業が苦手。

ログインすると、この記事をストックできます。

この記事をシェアする
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
  • Facebookアイコン