大手通信会社に勤務しながら趣味のシュガーアートで世界一という二足のわらじ

会社員とアーティストという二つの顔を持つ彼女は、どのようにして才能を開花させ、二つのキャリアを両立させているのか。世界を驚かせ続けるインスピレーションの源と、未来への展望に迫る。
砂糖と卵白から生み出される芸術、シュガーアート。その世界でトップに君臨する玉川玲さんは、シュガーアートを始めてわずか7年で世界一という異例の快挙を成し遂げた。大手通信会社に勤務する傍ら、繊細なアイシングワークで人々を魅了する彼女は、その創作活動をどのように両立させているのだろうか。後編では、会社員としての顔、そしてアーティストとしてのクリエイティビティの源泉に迫る。
目次
日常の中に「かわいい」を探す
玉川さんの作品は、かわいらしさと奇跡のような繊細さが同居している。そのインスピレーションはどこから湧いてくるのだろうか。
「昔は本を参考にすることもあったのですが、今はオリジナリティーを大切にしているので、日常の中で自分が『かわいい』と思うものを探すようにしています」と玉川さん。おもちゃ屋さんやテーマパーク、そして大好きな宝塚歌劇の舞台からも着想を得るという。日々の生活の中で心が動く瞬間を大切にし、それを作品に落とし込むことで、唯一無二の作品を生み出している。
会社員としての顔、アーティストとしての顔
世界トップクラスのアーティストでありながら、会社勤めを続けるのはなぜだろうか。
「勤務先が副業を推奨しているので、平日は会社員として、夜や土日に作品を作っています」と玉川さんは語る。国内外のコンテストで評価され、教室の依頼も増えたが、コロナ禍で対面形式の教室が難しくなり、現在はオーダーメードのアイシングクッキー販売や、ウエディングケーキの受注制作が中心だという。それでも、好きなことで年間100万円の収入を得られることに満足していると話す。
コンテストで受賞したような繊細で大きな作品は、オーダーメイドの注文が少ないため、収入には繋がりにくい。しかし、玉川さんは「収入的には今でも満足していますよ」と語る。彼女にとって、シュガーアートは収入を得るためだけでなく、「好き」を追求する場所なのだ。
「好き」を形にするための投資
通販サイトを立ち上げ、アイシングクッキーの販売を始めた玉川さん。食品営業の許可を得るために、生活用とは別にキッチンが必要になった。そこで彼女は、35年ローンで1LDKのマンションを購入し、キッチンを一つ追加するリフォームをしたという。
「今は『1LDKK』という変わった間取りです」と笑顔で話す彼女の言葉からは、好きなことに専念できる環境を手に入れた喜びが伝わってくる。専用キッチンで、誰にも邪魔されずシュガーアートに没頭できる時間は、彼女にとって何にも代えがたいものなのだろう。
会社員として安定した生活を送りながら、副業として「好き」を追求し、世界一にまで上り詰めた玉川玲さん。彼女の生き方は、「好き」を仕事にしたいと考える多くの人に勇気を与えてくれる。好きなことを追求する情熱と、それを支える努力、そして自らの才能を信じること。そのすべてが、彼女を世界一の「シュガーアーティスト」たらしめているのだ。
取材/華太郎
編集/webメディア I am編集部
関連記事
この記事を書いた人

- 編集長
 - 猫と食べることが大好き。将来は猫カフェを作りたい(本気)。書籍編集者歴が長い。強み:思い付きで行動できる。勝手に人のプロデュースをしたり、コンサルティングをする癖がある。弱み:数字に弱い。おおざっぱなので細かい作業が苦手。
 









