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モチベーション

バラエティプロデューサーに学ぶ、やる気がでない時のモチベーションの高め方

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やることはいっぱいなのに、モチベーションがないときは、どうすればいいのでしょうか? モチベーションを生み出すコツを、江戸川大学マス・コミュニケーション学科の角田陽一郎教授が教えます。

プロフィール

バラエティプロデューサー、文化資源学研究者角田陽一郎

(かくた よういちろう)バラエティプロデューサー、文化資源学研究者。1994年にTBSテレビに入社し、プロデューサー、ディレクターとしてなどを制作。2016年にTBS退社後、フリーの番組プロデュースや企業コンサルなどに携わる。

毎日、仕事や家事が山積みなのに、やる気がわかなくて一向に処理できていない……。

「せめて、もうちょっとモチベーションさえあればなあ~」と思い悩んだ経験は、誰にでもあるでしょう。

もしかするとまさに今、やる気が出なくて、ネットサーフィンしてこの記事にたどり着いたかもしれませんね。

それはそれでラッキーかもしれません。今日紹介する1冊は、まさにやる気のエネルギーが枯渇している方に、ぴったりの内容だからです。

本のタイトルは、『どうしても動き出せない日の モチベーションの見つけ方』(大和書房)。著者は、角田陽一郎さんです。江戸川大学のマス・コミュニケーション学科の教授でもある角田さんの、もう1つの肩書はバラエティプロデューサー。テレビ局勤務時代にプロデューサーとして数々のバラエティ番組に携わった経験を活かし、今はバラエティ(さまざま)な分野でクリエイティブな仕事に関わっています。

意外にも角田さんは、自身を「根暗な心配性」な人間だと自認しています。そのままだと華やかな世界を渡っていけないので、「自分で自分を、いい方向にコントロールする」術を身につけてきたそう。本書に収録されている93個ものモチベーションの見つけ方は、そんな角田さんの、試行錯誤から生まれた実践的なメソッドです。今回は、どのような内容か一部を紹介しましょう。

情報のインプット/アウトプットを常とする

角田さんは常に、「死ぬほど」情報をインプットし、それを咀嚼してアウトプットするのを繰り返しているそうです。

例えば、ラジオをかけっぱなしにして、流れてきた音楽が気に入ったら、アーティスト名を検索して調べる。関心が広がったら、その人のほかの曲も聞いたり、ライブにも行ってみる。さらには、まったく知らないアーティストが登場するフェスにも足を運ぶ。

人間関係も、考え方が同じ人とばかり付き合うのではなく、違った人とも話してみる。そして、その人の考えをまず受け入れてみる。ダメだったら流してしまっていいのですが、そのプロセスで既存の思考の枠組みをアップデートできると、角田さんはいいます。

こうした行動を重ねていくことで、やりたいこと、好きなことが増えていき、モチベーションも自然に出てくるというわけです。

流行っていること、流行っていないことに注目

どんな仕事にもストレスはつきものですが、ちょっとした工夫でそれを軽くし、やる気のアップにつながるものです。

角田さんは、その1つとして「ウォーキングZoom」をすすめています。これは、歩きながらオンラインでやりとりすること。社会人をしながら大学院に通っていた頃、オンライン講義を聴いて眠くなるのを防ぐために始めたそうです。眠気防止だけでなく、歩いていたほうが、講義の内容が頭に入ってくるとわかり、仕事のミーティングでも、このやり方をするように。生産性も創造性も高まるそうで、やってみない手はなさそうです。

これとはまったく別の話ですが、世間の流行に注目することもすすめられています。

くわえて、流行っていないことにも目を向けます。

なぜ、それが流行っているのか? あるいは流行っていないのか? その理由を分析することで、仕事を面白く活かすヒントが見つかるといいます。

マルチタスクが仕事の幅を面白く広げる

角田さんは、マルチタスクの達人です。なにしろ、約30個の仕事を同時にやっているのですから。

ただ、そのうちお金になるのは10個ぐらいだそうです。では、残りの20個は無駄なのかといえば、さにあらず。直接的なお金以外のものを得られるといいます。

例えば、YouTubeやVoicyの配信活動は、自分の考えを整理してまとめるという目的を兼ねるそう。それが、次に書く本のネタになったりします。

また、ある仕事の経験を積み重ねることによって、ほかの仕事の完成度が高まるとか、仕事の幅が広がるというメリットも。

その一例として、スニーカーメーカーのコンサルの仕事を挙げています。そこで、新商品のPRとして有名人とコラボする企画が立ち上がりました。角田さんは、所属事務所に打診した際に、その有名人が出演する舞台に招待してもらったそうです。その舞台は、個人的にも興味があったもので、マルチタスクによって仕事と人生の広がりを実感されました。もしも、スニーカーにしか興味がなかったら、あるいはその有名人にしか興味がなかったら、そうした広がりは生まれなかったでしょう。

人との出会いに照れず、縁と恩を大事に

たいていの仕事は、人とのつながりから拡大していくものです。なので、「出会いに照れない」よう角田さんはアドバイスします。

「照れる」とは、相手が格上だったり、著名だったりして、「まだその人と話せるレベルに達してない」などと尻込みしてしまうこと。

しかし、そのレベルに到達したころには、出会えるチャンスを逃すかもしれません。角田さんは、会いたいなと思ったら会うよう力説します。

そもそも、人との出会いは「一期一会」であるとも。二度目の機会はないという前提で、その好機を大切にすることが大事なのです。

また、思わぬ出会いに何か縁を感じて、それが仕事につながることもあるでしょう。

角田さんは、この時に大事にすべきは恩だと言います。そして、相手に恩を返せないときは、別の人に恩を送る恩送りをします。

恩送りは、まわりまわって自分のところに返ってきます。それが、なにかチャンスにつながっていくと、角田さんは説いています。


以上、ざっと本の読みどころを、かいつまんで紹介しました。本書にはこれ以外に、約90ものモチベーションの見つけ方が記されています。仕事で行き詰った時などに読んでみると、役立つこと請け合い。きっと現状を突破するヒントが見つかるはずです。

・参考までに各章のタイトルは以下のとおりです。

第1章:どうしてもやる気が出ない日のモチベーションの見つけ方
第2章:やりたいことに悩んでいる日のモチベーションの見つけ方
第3章:無理せずゆるくやりたい日のモチベーションの見つけ方
第4章:仕事をちょっと楽しくしたい日のモチベーションの見つけ方
第5章:無限にアイディアを生み出したい日のモチベーションの見つけ方
第6章:人間関係に新しい風を入れたい日のモチベーションの見つけ方
第7章:いつもの思考のクセから抜け出したい日のモチベーションの見つけ方
第8章:人生の景色を変えたい日のモチベーションの見つけ方

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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