コミュニケーション

劣等感に悩まなくてもいい? アドラー心理学から学ぶ苦手な人と付き合い方

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劣等感

私たちは他人に対し劣等感を抱き、苦手意識を持ちがちです。岩井俊憲氏の著書『人間関係が楽になるアドラーの教え』(大和書房刊)から苦手な人との付き合い方を学びます。

岩井俊憲

プロフィール

アドラー心理学カウンセリング指導者岩井俊憲

有限会社ヒューマン・ギルド 代表取締役、アドラー心理学カウンセリング指導者、中小企業診断士、上級教育カウンセラー。ヒューマン・ギルドでアドラー心理学を主に使ったカウンセリング、心理学の各種講座を行うほか、企業・自治体から招かれ、アドラー心理学をベースとした勇気づけやリーダーシップ、コミュニケーションの研修などを実施。

現代は以前と異なりSNSで人の成功が見えてしまいます。「あの人は結婚しているのに自分はまだ独身だ……」「あの人の方が私よりいい暮らしをしている」と他人と自分を比較しSNS疲れを感じている人も少なくありません。

岩井俊憲氏の『人間関係が楽になるアドラーの教え』(大和書房刊)は、アドラー心理学をベースにした人間関係が楽になる方法を、著者自身の豊富なカウンセラー経験より解説しています。「自分が相手に負けている」と劣等感を感じたとき、どのようにすれば感情をコントロールできるのでしょうか?

アドラー心理学では劣等感を否定しない

劣等感とは、怒りや不安、焦り、恨み、嫉妬、羨望といったマイナスの感情を総称したものです。

自分と同じぐらいと感じていた人が自分より少し優れていたり、恵まれていたりすると人は強く劣等感を抱きます。とくにSNSでは他人の成功がハッキリと見えやすく、モヤモヤする気持ちを持っている人は少なくありません。

岩井氏によると「本当は相手と同じくらいの地位にいたいという自分の目標があるのに、現状はそうなっていないということでもあります」と言います。

自分より少し優れていた人には負けたくないと思い、でも現状では負けている、そうした現状を認めたくない気持ちが「あの人は苦手」という感情になって出てくるのです。

では、こうした劣等感は悪い感情なのでしょうか?

アドラーは劣等感を否定していません。むしろ「かけがえのない友」であるとしています。相手に劣等感を感じたら、以下のように適当に距離を取りながら自分を高めていきましょう。

・相手と同じ領域で勝負する
・相手とは差別化した領域で頑張る

岩井氏も高校時代にいつも自分よりいい成績を取る同級生に劣等感を感じていました。しかし、岩井氏はそうした劣等感をバネにして、負けたくないという一心で勉強し、同級生と同じ大学に入ることができたのです。

劣等感は悪いことではなく、自分をより成長させるための発奮材料となると知っておきましょう。

苦手な人とは仲良くしなくてもいい

私たちは同調圧力や承認欲求によって、苦手な人とも仲良くしなくてはいけないという思い込みがあります。

みんなが苦手な人と仲良くしているから、自分もその人と仲良くしなくてはいけないと思っていないでしょうか? あるいは、みんなから好かれたいから誰かが苦手な状態はよくないと思っていないでしょうか?

しかし岩井氏によると、人はそれぞれ違っているからみんなと同じようにするのは無理があるとしています。

あなたと相性が悪い人と仲良くする必要はありません。自分が人と違ってもいいのです。そういった人と違う自分を受け入れることが重要です。

また、SNSでみんなから認められたいと常に八方美人でいると疲れてしまうでしょう。すべての人から好かれるというのは不可能です。

岩井氏は「本当に大切な友人には好かれたいと努力する、恋人には好かれたいと頑張る」と言っています。

「すべての人を好きになる」という考えはやめて、苦手な人は苦手な人だと認めましょう。きっと心が楽になるはずです。

苦手な相手と仕事をするときは「協力する」姿勢で接する

プライベートで接する相手なら、避けることができますが、仕事関係の相手は苦手だとしても避けることができません。そんな相手にはどう接すればいいのでしょうか?

苦手な相手と仕事をするときは「協力する」姿勢で接しましょう。
協力するためのポイントは以下の3つです。
・共通の目標
・貢献意欲
・コミュニケーション

たとえば、岩井氏が関わったある企業の管理職の男性は部下の女性が苦手だったといいます。部下の女性は評価のことしか考えず、上司の見ている前では仕事をきちんとやり、上司の見ていないところで仕事の手抜きをしていたそうです。

そこで岩井氏が提案したのは、複数人で部下と面接することでした。複数人の上司と面談をすることにより、部下の「上司から評価されたい」という気持ちは分散されます。その他のメンバーとも協力関係を築かなくてはいけないということに、部下を気づかせることができました。

岩井氏は「関係や環境を変えることで、相手が苦手であっても協力し合える関係を作ることができるのです」と言います。

苦手な人との接し方を変えることで、相手と協力ができて、仕事の生産性を高めることができるのです。

この記事では、岩井俊憲氏著『人間関係が楽になるアドラーの教え』から、苦手な人との付き合い方を要約・抜粋してご紹介しました。
自分の劣等感を認め、苦手な人との距離の取り方がわかると、あなたのイライラもなくなっていくでしょう。

この記事を書いた人

今崎ひとみ
今崎ひとみIT人文好きライター
うさぎと北欧を愛するライター。元Webデザイナー。インタビュー取材やコラムを執筆。強み:好奇心旺盛なところ。失敗してもへこたれないところ。弱み:事務作業が苦手。確定申告の時期はブルーに。

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