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話し方

自分だけベラベラしゃべる人と思われる「15秒ルール」。心理学の教えは、初対面ほど短く話せ!

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初対面で思うような第一印象を残すことができなかったと悔やむ人も多い。長崎大学准教授でスピーチコンサルタントの矢野香さんの心理学の知見による「15秒ルール」とは?

「第一印象」で失敗したくない人におすすめなのが「15秒ルール」だ。春の人事異動で、新しい人がチームに加わったり、自分が異動になったり。また担当する得意先が変わったりなど、初対面コミュニケーションの機会が増えた人も多いだろう。

初対面で「第一印象を良くしたい」と思うのが人の常だが、こんな人は要注意だ。

頑張りすぎて「しゃべりすぎ」てしまう

サービス精神が旺盛すぎて「しゃべりすぎる」人。新しい仲間が入ってきたら、歓迎するつもりで、つい喋りすぎてしまう。得意先で自分を覚えてもらおうと、つい喋りすぎてしまう。仲良くなろうと、つい喋りすぎてしまう。また緊張して喋りすぎてしまうケースも案外多い。

そう、「食い気味」の人になってしまうのである。では「喋りすぎ」に具体的な目安はあるのだろうか?

長崎大学准教授で、元NHK報道キャスターのスピーチコンサルタントの矢野香さんの『最初の15秒でスッと打ち解ける大人の話し方』(日経ビジネス人文庫)によると、15秒だという。

たった15秒で「しゃべりすぎ」に認定

たったの15秒で喋りすぎ認定ということになる。

「えー、短すぎるだろ」

「15秒って言われてもイメージできない」

「おもしろければ長くてもいいのでは?」

反応はさまざまだろうが、心理学的には15秒と言う。矢野さんによると「会った瞬間から相手がどんな人なのかを無意識に読み取り第一印象を作り上げ、心理学の研究では第一印象は最短で1秒前後から15秒、数分とされている」のだ。

ここに「話し方」という要素が加わり、第一印象は決定づけられる。

ここでも「15秒ルール」が適用されるとスピーチのプロは言う。会話にも単位があり「1単位が15秒」になる。お互い15秒の持ち時間で会話のリレーとするのが理想の会話ということになる。

スマホのストップウォッチを用意して、以下の会話を声に出して読んでみてほしい。

相手「〇〇さんは長崎のご出身とうかがいました。実は私も長崎出身なんですよ」

自分「えっ、そうなんですか?長崎県のどちらですか? 私は佐世保市の出身ですが」

相手「私は長崎市出身です。俳優の福山雅治さんの実家と近所だったことが小さな自慢です」

相手も自分も15秒以内で収めて相手にリレーしていることがわかる。相手が長崎県出身であるというボールをキャッチして、さらに佐世保という自己開示しつつ「ですが」の3ワードで相手にボールを投げ返す。

すると相手は長崎市出身で、福山雅治さんの実家が近所にあったと、持ちネタを披露しやすくなる。これが大人の話し方という。

しかし、これを一人で15秒以上話すとどうなるか?

「えっ、そうなんですか? 私は佐世保市の出身ですが、佐世保といえば佐世保バーガーが有名なんですよ。私も、週に一回は佐世保バーガーを食べるんですが、いちばんお気に入りのお店は○■△です。あのお店はキャラクターも可愛いし、佐世保バーガーではいちばん有名ですよね。」

「はあ、そうなんですね……(シーン)」

15秒はたったの105文字

秒数にして約18秒。文字数にしてたったの126文字。しかし「15秒ルール」では「アウト」。

15秒だと105文字ということになる。

この程度のことは普通みんな喋ってるだろう、と思うかもしれない。

しかし「たった15秒で失うものは大きい」ということを心理学が証明していることを思い出して欲しい。15秒喋っただけで「あの人は自分だけベラベラしゃべる」と思われるかもしれない。

同じ職場なら挽回のチャンスはある。長く一緒に働けば「よく喋る楽しい人」とわかってもらえる日がくる可能性もある(ないかもしれない)。

しかしビジネスの場ではどうだろう。チャンスを失う可能性もあるのだ。

スタートアップの「エレベーターピッチ」のように、投資家に対して1分でプレゼンする場合は別だが、日常のコミュニケーションにおいては好印象と信頼を勝ち取ることのほうが重要といえる。

高度なトークスキルより、しゃべりすぎないスキルはお得

1分ピッチという高度なスキルを身につけるより、15秒以上喋らないスキルを身につけるほうが、よほどお得なのではないか?

真面目なビジネスパーソンほど努力してしまうが、1分ピッチで成功するより、15秒以内で失敗を回避するのも良好なコミュニケーションの成功法かもしれない。

矢野さんは、残念すぎる話し方の失敗は、良かれと思ってやっているケースが多いと言う。この15秒ルールの他、

「お時間いただけますか?」

「こっそり丁寧にお礼を言う」

「正直に忘れいていたと言う」

などだ。

元NHK報道キャスターであり心理学を使ったスピーチコンサルタントの矢野香さんの「話し方」に関する考察はキャリア層にはドキッとさせるものが多い。

この記事を書いた人

長谷川恵子
長谷川恵子編集長
猫と食べることが大好き。将来は猫カフェを作りたい(本気)。書籍編集者歴が長い。強み:思い付きで行動できる。勝手に人のプロデュースをしたり、コンサルティングをする癖がある。弱み:数字に弱い。おおざっぱなので細かい作業が苦手。

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