親子で思考力と言語力を高める方法:哲学思考を身につける「哲学対話」哲学対話とは?
教育現場でもビジネスシーンでも関心が高まる哲学対話。コミュニケーションの基礎となる親子間の哲学対話の方法を、気鋭の哲学者がわかりやすく解説します。
目次
哲学対話とは?
哲学対話は、親子でのコミュニケーションを深め、子どもの思考力と言語力を向上させるための効果的な方法です。最近注目を集めるこの方法は、哲学者で教育学者の苫野一徳氏の著書『親子で哲学対話−10分からはじめる「本質を考える」レッスン』(大和書房)で詳しく解説されています。
熊本大学准教授として教鞭を取る苫野さんは、長年、哲学対話のワークを大学だけでなく、経営者や教育関係者に対しても行ってきました。
この本は、小学生5年生の長女との対話20編を収録し、哲学対話の実践法を親しみやすく紹介しています。
哲学対話の対象年齢と時間
親子の哲学対話は、小学校低学年から中学生までの子どもを対象にしていますが、大人にとっても非常に有用です。
日常生活の中で取り入れることができ、1回の対話は10分程度で十分です。夕食後、散歩の時間、買い物中、寝る前など、さまざまなシチュエーションで行うことができます。
子どもから「ねえ、○○って何?」と質問されたときこそ、哲学対話の絶好のチャンスです。
親子で哲学対話の具体的な対話例
本書では、著者の苫野一徳さんと長女の実際の親子の対話が20のテーマで紹介されています。
娘:「うん。おいしいものを食べてるときでしょ、好きな絵を描いているときでしょ、あと、好きな人と一緒にいるとき……」
父:「うんうん、つまり、パパとこうして……」
娘:「(無視して、かぶせて、)あ、でも好きな人といるときは、〝幸せ〞っていうより〝うれしい〞って感じかな」
父:「なるほど。何がちがうんだろう?」
娘:「〝うれしい〞よりレベルが高いのが〝幸せ〞なのかな」
父:「たしかに」
娘:「でも、おいしいものを食べてるときって、〝うれしい〞よりレベル高いのかな。もうちょっとささやかな感じもする。あ、そういえば、ささやかな幸せって言い方もするよね」
これは「幸せとは何か?」をテーマにした対話の一例です。親子の何気ない会話が、哲学的な深い思考を引き出すきっかけとなります。
哲学対話の効果
哲学対話を通じて得られる効果は次のとおりです:
思考力の向上:対話を通じて、子どもが自ら考え、論理的に思考する力が養われます。
言語力の向上:言葉を使って自分の考えを表現する力が身につきます。
コミュニケーションの深化:親子の対話が深まり、相互理解が進みます。
自己理解の深化:自分自身について考える機会が増え、自己理解が深まります。
本質を見抜く力の養成:物事の本質を考え、見抜く力が養われます。
民主的な対話の経験:対話を通じて、異なる意見を尊重し合う民主的な姿勢が身につきます。
読者の声
「子供に対して親が「教える」という上からのスタンスではなくて、
子どもと一緒に言葉を探して納得の行く言葉を編み上げていく、
という工程が苫野さんも幸せな時間だったと書かれてますが、羨ましくなりました。
小学校卒業の時点で本質を深く考えられる、考える方法論がわかっている、
というのは先の人生においてとても強い武器になると思いました。」
(読者レビュー)
「小学4年の娘が1年半ほど前から不登校です。
ずっと二人きりだと煮詰まってしまい、
ついきつい口調になってしまうこともあります。
優しくなれない自分を責めてしまうことも多かったのですが、
対話することが必要だったんだと気づきました。」
(親読者)
今すぐ始める親子の哲学対話
本書には具体的な哲学対話のやり方やステップなども図解でわかりやすく解説されています。親子の対話の時間を豊かにし、子どもの成長を促す哲学対話。この本を手に取り、親子で人生の問いに向き合う時間を作ってみませんか?
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この記事を書いた人
- 「好きや得意」を仕事に――新しい働き方、自分らしい働き方を目指すバブル(の香りを少し知ってる)、ミレニアム、Z世代の女性3人の編集部です。これからは仕事の対価として給与をもらうだけでなく「自分の価値をお金に変える」という、「こんなことがあったらいいな!」を実現するためのナレッジを発信していきます。
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