キャリア女性の失敗。実は“できない”より“頑張りすぎ”が多い? 元NHKキャスターがママ友にドン引きされたワケ
「なりたい自分」を目指してNHKキャスターをやめて独立、現在は長崎大学准教授、スピーチコンサルタントとして活躍する矢野香さん。矢野さんが教える「自分のコントロール」の方法とは?
プロフィール
長崎大学准教授、スピーチコンサルタント矢野香
目次
「なりたい自分」にはなれたけど、場を間違えると失敗に
元NHKキャスターであり、長崎大学准教授/スピーチコンサルタントとして活躍する矢野香さん。「なりたい自分」を操り、完璧なキャリアデザインを築いてきた矢野さんですが、思わぬところで大きな落とし穴が待っていました。
「なりたい自分」を操り順調にキャリアを築く
キャリアデザインに欠かせない「なりたい自分」を操るスキル
元NHKキャスターの矢野香さん。スピーチコンサルタントとして、政治家・経営者・大手企業役員などにコンサルティングを続けています。出身地である長崎の国立大学の准教授としても、さらに活躍の場を広げています。そんな矢野さんのスピーチコンサルティングの軸となっているのが心理学の自己呈示論。つまり、「なりたい自分」の操り方です。矢野さんが「なりたい自分」の操り方を編み出したのはNHKキャスター時代だといいます。たとえ「ほんとうの自分」は自信がなかったとしても「なりたい自分」として自己表現をつづけていくこと。さらに、周囲の批判にも負けないメンタルを築いていく。こうした「なりたい自分」の操り方を実践し、その方法を心理学的に研究し博士号を取得。独自のスピーチ指導法を体系化させることによって矢野さんは見事、スピーチコンサルタントとしてのキャリアデザインの構築に成功しました。
「なりたい自分」と「ほんとうの自分」を使い分けていた
独立する前の「なりたい自分」は「信頼されるスピーチコンサルタント」。NHKニュースのロゴと同じ紺色のスーツを制服として毎日着つづけ、矢野香のイメージを相手の印象に残すよう工夫していたといいます。
一方で、プライベートでは二人の子供の母親でもある矢野さん。家では子どもを叱りながら仕事と子育ての両立に必死な毎日。そんな「ほんとうの自分」から「なりたい自分」に変身する場は全身鏡の前。鏡を見ながら制服に着替え、「信頼されるスピーチコンサルタント・矢野香」へとセルフイメージを高めていたわけです。「なりたい自分」を表現し、オン・オフを見事に使い分け、キャスター・スピーチコンサルタントとして順調にキャリアを築いていました。ただし、「なりたい自分」は出す場に気をつけなくてはなりません。オン・オフの場に気をつけていた矢野さんでしたが、そこには大きな落とし穴がありました。
うっかりと学校行事にもワーママの顔で行ってしまった
NHKキャスター時代、子供の学校行事に参加したときのことです。職場からそのまま学校に駆け付けたため、着替える時間がなく仕事着のまま。鮮やかな色のスーツに高めのヒールというキャスター仕様で登場し、気まずい思いをしたことがあるそうです。
ワーキングマザーVS専業主婦という構図はよく聞く悩みの一つです。矢野さんだけでなく同様の失敗経験をしたワーキングマザーは大勢います。
ワーキングマザーであるAさんは、専業主婦のPTA役員ママに目の敵にされ、かなり辛い思いをしたと話してくれました。彼女も仕事着のことを注意され「あなたの今着ている服はPTAには相応しくないから、着替えてきて」と直接言われたことがあるとのこと。
さらに、PTAはできる人が、できるときに、できることをするボランティア組織だと聞いていたのに、「この間のPTA、欠席でしたよね? いいんですよ、お仕事なさっている人はお忙しいから(笑)。代わりにベルマークを集めてくださいます? ●千点分」と嫌味を言われたうえ、無理難題のペナルティまで課されてしまう始末。
しかし責任感の強いAさんは、職場の仲間にも協力してもらい一生懸命ベルマークを集め、役員ママに届けます。すると次は、プリンターの使用済みインクカートリッジを大量に集めるように要求されてしまったそうです。
当時を振り返ってAさんは、「仕事モードで相手に要求されたことをやり遂げるのではなく、『ごめんなさい、私はダメな母親なので集められませんでした』と弱みを見せた方が周囲のママたちの理解を得られたのかもしれません。『ほんとうの自分』モードとの切り替えができたら違っていたでしょうね」と悔しそうでした。
「なりたい自分」にはTPOがある
ワーママVS専業主婦だけでなく、男性VS女性、正規雇用VS非正規雇用、営業部VS総務部など、ビジネス現場には様々な立場の違いがあります。「なりたい自分」を表現することは、理想の自分に近づき、キャリアの幅や人脈が広がります。しかし、うっかりと出す場を間違えると敵を作り、とんでもないことになります。人は相手が表現した一挙手一投足で判断するもの。くれぐれも「なりたい自分」を出す場は間違えないようにしましょう。
*この記事は起業や自立を目指すセミナー(コワーキングスペース「Air Business Departure」主催)での登壇内容を記事化しました。
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この記事を書いた人
- うさぎと北欧を愛するライター。元Webデザイナー。インタビュー取材やコラムを執筆。強み:好奇心旺盛なところ。失敗してもへこたれないところ。弱み:事務作業が苦手。確定申告の時期はブルーに。
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