100 Questions
課題解決を仕事

課題解決を仕事これからの経済を牽引していけるのは「日本文化」と考え、盆栽の巨匠のもとで修行(盆栽職人の弟子/村井翔さん)

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どうやって自分の仕事を確立したのか。「盆栽の魅力を通して、日本文化にある精神的な豊かさを普及したい」との思いから、世界でも有名な盆栽界の巨匠に弟子入りした村井翔さんに聞きました。 

プロフィール

盆栽職人の弟子村井翔

盆栽を中心に日本文化の本髄を理解して噛み砕き、現代版に馴染ませていき、文化先進国の日本を牽引していくことを夢見て盆栽の職人の弟子をしています。将来はエルメスのような盆栽の超ラグジュアリーブランドを築き、世界各国各都市に盆栽園を持って超VIP向けの盆栽社交場を作り、日本文化の精神的な豊かさを普及させあらゆる人に文化の楽しさを知ってもらうのが夢です。

仕事内容と自分らしいビジネスアイデアの見つけ方

どんな仕事をしていますか?

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東京にある春花園という盆栽園で盆栽職人の弟子をしています。仕事内容は盆栽作りはもちろん、手入れを依頼されているお客様の盆栽の世話、掃除、親方の鞄持ちなど全てをやります。仕事というより親方と共に365日24時間生活し、教科書では勉強できないものを肌で勉強しています。

今の仕事のキャリアは?

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独立はしていませんが、弟子入りして2年目です。弟子入りとは徒弟制度のもと6年間修行することです。徒弟制度は住み込みで365日親方と寝食を共にする修行で、盆栽の技術だけでなく親方の生き様を近くで見て学びます。

今の仕事をはじめるまで、どんな仕事を経験されましたか?

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普通の大学生でした。青山学院大学法学部法学科で学生をしつつ、体育会サッカー部として活動していました。大学卒業後、すぐに弟子入りしました。

なぜ今の仕事を「自分の仕事」にしたのですか?

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日本が外貨を獲得するために世界で勝てる産業は何かと考えたときに、新たな産業を勃興して世界中に広めるよりも、現時点で評価されているものをブラッシュアップした方がコスパがいいと思いました。その結果、鍵になったのは「日本文化」でした。

日本文化が大事なのは全員がわかっていますが、いまだに後継者不足という社会問題は解決されていません。それは日本文化を生業にしたときのメリットが少なく、中でも経済的に難しいのが理由です。もし「職人には年収2000万稼げる人もいる」と周知されたら、職人になる人は出てくるかもしれません。しかし、現時点では大多数の職人には経済的なメリットがそれほどなく、日本文化を生業にする人が少ないため、自分がやるしかないと思いました。なぜなら僕の唯一の長所は、保身に走らずに他の人がリスクだと思う事に対して飛び込む事ができるところだからです。なので僕しかいないと思いました。

また、盆栽はアートの側面を持っている文化です。入口はアート的な造形美で人を魅了することができ、そしてその奥には素晴らしい文化が広がっています。例えば着物は造形美的な美しさがありますが、奥へ広げる文化的な側面は少ないです。陶器なども同様です。一方、世界的に本当に注目されているものの共通点(例えば茶道)は文化的、哲学的な側面が評価されています。つまり、世界に本質的に広めるには文化的な側面は必須で、しかし裾野を広げるための造形美も必要。そういった観点で盆栽が一番その二つを兼ね備えていると思います。

今の仕事は好きや得意なこと? それとも困り事でしたか?

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盆栽に限らず、日本の伝統産業での後継者不足は「国の困りごと」だと思っています。

なぜ、今の仕事がビジネスとして成り立つと思ったのですか?

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デジタルが進むにつれて反比例的に文化の大事さが見直されると思ったからです。また、その中でも日本文化は世界の中でも認められています。さらに、盆栽は言語に依存しないので、世界で戦えると思いました。

「自分の仕事」としてやっていくと決めてから、やったことはなんですか?

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僕が職人として修行する上で課題となるのは経済的な問題です。パトロンに近い裕福な支援者やお客様を見つけなければ弟子を続けるのは難しいと考えたため、お金と人が集まる東京でやることにこだわりました。

グーグルで「東京 盆栽園」を調べて、出てきたのが春花園。春花園の親方は、盆栽作家の一番の賞である内閣総理大臣賞を4回受賞した盆栽界の重鎮で、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏など世界的な著名人が訪ねてきて盆栽を購入しています。この方のもとで修業したいと決め、次の日に春花園へ行きました。

弟子入りのプロセスを教えてください。

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春花園に飛び込みで行き、「修行したい」と言って弟子にしていただきました。

弟子入りの最大の障壁は何でしたか?

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経済的な心配が障壁でした。お給料がないため、どうしても学生時代よりも経済的に厳しい生活が弟子入り前に想像できました。しかし、自分の生活水準を下げることでその障壁は乗り越えられると考え、大学生のときに家賃24,000円のアパートで一人暮らしをして、最低限の生活をすることで自分の生活水準を下げました。

弟子入り前にどんな準備をしましたか?

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本当に何もしていないです。

弟子入り後に初めてぶつかった壁とは?

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経済的な問題です。しかし、春花園では親方が「自分でお金を稼いで学べ」という教育をしていて、自分の盆栽の売り買いができます。出会った人に盆栽の魅力を伝え購入してもらい、お小遣いの足しを作っています。

弟子としての仕事だけをされていますか? それとも副業なども?

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副業、アルバイトは何もしていないです。休みも月に一回、そして毎日6時から21時まで仕事のため他のことをやる時間はありません。

弟子入りしてから職人になるまでどんなプロセスがあるのですか?

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徒弟制度のもと、6年間の修行をやり切って職人になります。独立後はまず自分の盆栽園を持ち、本当に面白い人たちだけを対象に完全会員制の盆栽園を運営して、盆栽を通じて色々な人たちと会える場を作りたいです。そのためには実力と説得力がいるため、盆栽作家で一番の賞である内閣総理大臣賞を取りたいです。

仕事に求める優先順位は?

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人としての希少価値です。高給取りの企業であってもその企業には数百人の社員がいるわけで、その中でさらに「お前は同じ会社の人と何が違うのか」というのを突き詰めるのは難しいです。なので職業として母数が少ないのは希少価値になり得ると思います。

あなたの「強み」「弱み」は?

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強みは他の人が捨てられないものを捨てられることです。弱みは体が先に動きすぎて計画性が伴わない時があります。

自分の強みを仕事に活かせていますか?

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活かせています。今回の場合だと他の人が大事にする学歴や将来の安定などを捨てることができ、可能性があるとみんなが思っているけど一歩踏み出せない分野でチャレンジすることができています。

自分の弱みをどう克服していますか?

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動き出す前に一歩踏みとどまって考えることにしています。しかし、考えすぎるとよくないのでいい塩梅を探っています。

はじめての仕事はどのように獲得しましたか?

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バーで会った方に盆栽を買っていただきました。友達が素敵なバーを紹介してくれて、そこの常連さんである企業の社長をやっている方が気に入ってくださり、「君の盆栽を買いたい」と言っていただきました。

最初に自分の力で稼いだお金を得たときの感想は? また、その額はいくら?

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めちゃくちゃ嬉しかったのと、これからもっと頑張らなきゃなと思いました。その盆栽は12万円でした。

価格はどのように決めましたか? 価格設定で悩んだことは?

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一般的な盆栽の相場で決めました。

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