50代から差がつくセカンドライフ計画−キャリアを太らせ「人脈拡大」「人脈貯金」
セカンドライフに必要なものといえば老後資金。しかし人生100年時代の今、50代からやるべきことはキャリアを太らせ人脈貯金と、博報堂コピーライターでキャリアコンサルタントの三嶋浩子氏は説きます。
目次
博報堂コピーライターのキャリコンに聞く「50代キャリアチェンジの方法」
リスキリングをする必要があると巷ではいわれているが、本当に新しい資格やスキルは必要? 50代がキャリアチェンジするにはキャリアを太らせ人脈をつくる必要があります。博報堂 関西支社でCMプランナーやコピーライターとして活躍する三嶋浩子さん。博報堂と関西の大学での非常勤講師を並走し、キャリアコンサルタント(国家資格)を取得、『未定年図鑑』も上梓しています。I amでは博報堂の三嶋さんに50代のキャリアチェンジの方法について聞きました。
枝・葉ばかり気にすると無駄な悩みが多くなる
「キャリアチェンジのためにはリスキリング」と、資格取得ばかり考えていませんか?しかし、新しいことを学ぶためのリスキリングは本当に必要なのでしょうか。
キャリアチェンジを考えた場合、まず「幹(生き方の軸)」を決めることが大事です。しかし、ほとんどの人は「幹(生き方の軸)」を最初に決めません。「枝・葉(資格取得や大学院入学などテクニカルな部分)」ばかり気にしてしまいます。そのような人たちは考えがぶれやすいのです。資格を一つ取ったとしても、「なんだかしっくりフィットしないから、また新たな資格を取ろう……」と資格ばかり取ってしまうことに。結局、無駄な悩みが出てきたり、無駄な試行錯誤をしてしまったりします。幹を決めずに右往左往すると次のステージに進むこともできません。
「幹=生き方の軸」を決めてキャリアを太らせる
【キャリアを太らせる①】生き方の軸を決める
ではどうすればいいのかというと、「幹」を決めることで次のステップに進めます。セカンドキャリアにつなげられる人の共通点は、生き方の軸がはっきりしている人です。ご本人は意識していないですが、「何が軸なのか」「未来は何なのか」がはっきりしています。
まずは「自分の人生の優先順位は何なんだろう」と考えましょう。
「家庭を第1にする」「世界一周する」など、軸はなんでもいいのです。
たとえば「世界一周する」を軸にしてみます。やり遂げるためには「短時間でできる仕事を探そう」など、答えはすぐに出てきます。「世界一周するにはお金が必要だから今しっかり貯金しなければいけない」など、今やるべき枝・葉の部分も見えてくるでしょう。
しかし、答えが自ずと出てきても会社を辞められない場合もあります。「どちらが大事か?」を見直したら、「仕事を辞められない」という答えが出てくるでしょう。それでも軸が定まっていれば問題はありません。その場合は、「今の仕事を60歳までやって、その後世界に拠点を持つ」などのように別の切り口も考えられます。そのように、人生スケジュール表のようなものを作ったらいいのではないでしょうか。
【キャリアを太らせる②】「人生見落とし点検」と「人生パトロール」がヒント
生き方の軸を決めるやテーマを決めたら、次は「人生見落とし点検」をします。「人生見落とし点検」とは、過去から現在までの出来事について、棚卸しをすることです。表にして「成果」「失敗」「出会い」「気持ち」に区分し、キャリアの種を見つけます。「人生見落とし点検」を作成後、「人生パトロール」をします。「人生パトロール」とは日々の生活で偶然によるキャリアの種を見逃していないかチェックすることです。
【キャリアを太らせる③】過去の自分を信じる
人生パトロールの結果、何気ない出会いや偶然の出来事からセカンドキャリアを広げることができます。「私は大したことない」と思わずに自分の過去を信じましょう。50歳まで生きてきたわけですから、自分にも備わっているものがあると信じることが大切です。
【キャリアを太らせる④】過去のキャリアを太らせる
私は必ずしもリスキリングする必要はないと思っています。
なぜなら、やりたい仕事を始めるのであれば、全く新しい仕事ではなく過去からのつながりでやりたい仕事を始めるほうがいいと思うからです。
年齢が上がるほど、自分がやりたいことに近づくのは容易ではありません。50代で全然違う仕事を目指すのは合理的ではないのです。むしろ新しいことをしようとすると趣味になってしまう可能性があります。お金を稼いで対価を貰うには、価値のあることをしなくてはいけません。過去の自分のキャリアから本当にお金に転換できるようなものでないと難しいものがあります。
ですから、過去から現在に至ってやってきたことが複数あったら、一つ選んで過去のキャリアを太らせる方法がおすすめです。そのような考え方でやっていくと、やりたい仕事に近づくことができます。
たとえば、長く銀行に勤めた経験のある方なら金融の知識を生かし、ファイナンシャルプランナーの資格を取ることもできるでしょう。
実際にAさんという方は、離婚したとき持っていた教員免許の資格やピアノ演奏歴が長いことを生かし、某音楽教室のインストラクターになりました。
ですからリスキリングの呪縛に囚われずに、自分の過去の棚卸しをして、太らせることが重要です。
ハローワークはセカンドキャリアの図書館
では、キャリアを太らせるにはどうするのか?セカンドキャリアの図書館として、ハローワークの利用がおすすめです。ハローワークにはセカンドキャリアについての情報がたくさんあり、いいアドバイスをくれるキャリアコンサルタントがいます。
たとえば専門実践教育訓練給付金を使い、大学院や専門学校で学び、セカンドキャリアに役立てることもできます。専門実践教育訓練給付金を受給するにはハローワークでキャリア・コンサルタントからジョブ・カードを書くようにすすめられます。これまでのキャリアを振り返り、記入するためのカードです。
『未定年図鑑』でも紹介しているMさんはハローワークのキャリアコンサルタントからアドバイスを受けました。過去の棚卸しをして、自分の過去を信じたがゆえに50代でありながら、セカンドキャリアで成功できたのです。
ハローワークを上手く利用し、過去にやってきた自分を第三者に見てもらうことが必要なのではないでしょうか。自分の過去を信じることで未来へとつながるでしょう。
50代でセカンドキャリアに移るには?
【50代のセカンドキャリア①】50代でセカンドキャリアに移った人の特徴
50代でセカンドキャリアに移った人は、「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」の「5つの精神性」を持っています。「5つの精神性」はスタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が発案しました。成功している人は、「5つの精神性」を持っているだけではなく、自分の過去によって助けられた人です。その人たちはとくに一生懸命転職活動をしなくても、他の会社から声をかけられて、セカンドキャリアに成功しています。スキルだけではなく、その人の生き方や人間関係といった過去が助けてくれたのです。
【50代のセカンドキャリア②】人脈拡大と人脈貯金で人と緩くつながる
上述したような「5つの精神性」を持ち、過去が助けてくれた人なら、セカンドキャリアを手にできる可能性が高まります。しかし、全員が同じようになれるわけではありません。では、そういったものを持っていない人はどうすればいいのか? そのキーワードは「ゆるいつながりのある人脈」です。家族やいつもご飯を一緒に食べに行く友達は同じ職場にいたり、同じ価値観を持っていたりします。そのような間柄の人たちは新しい情報を持っていません。
しかし、たとえばFacebookだけでつながっているような人たちはどうでしょうか? ゆるくつながっているため、自分とは違う領域にいる人たちです。新しいキャリアの種を持っていて、「こんな仕事があるんだけど一緒にやらない?」と仕事の誘いがあるかもしれません。そのようなゆるいつながりをたくさん持っておくことをおすすめします。
どのコミュニティを選ぶかは、自分軸があれば、自ずと決まってきます。たとえばボランティアが自分のテーマなら、ボランティアに関するコミュニティを選べばよいでしょう。セカンドキャリアを目指すのであれば、ある程度戦略的にコミュニティを選ぶことも重要です。
やりたい仕事を始めるためには、「自分の過去を信じる」ことにプラスして「人脈拡大」「人脈貯金」を装備しておきましょう。
三嶋浩子(みしまひろこ)
博報堂シニアビジネスフォース コンテンツ・ディレクター、キャリアコンサルタント(国家資格)。大阪市立大学大学院修了、修士(都市経営)。2019年から非常勤講師として同志社女子大学 表象文化学部日本語日本文学科にて「コピーライティング」を担当。広告クリエイターと大学非常勤講師、シニア研究、地方創生の4足のわらじを履く。著書に『未定年図鑑』(中央経済社)がある。
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この記事を書いた人
- うさぎと北欧を愛するライター。元Webデザイナー。インタビュー取材やコラムを執筆。強み:好奇心旺盛なところ。失敗してもへこたれないところ。弱み:事務作業が苦手。確定申告の時期はブルーに。
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