タニタ研究員の「ダイエットで人生変える」授業エナジードリンクってジュースだったの? タニタ研究員が教える「効く」ドリンクの選び方
眠気が襲ってきたり、パワー不足を感じたりするときについ頼りたくなる栄養ドリンク。今回は栄養ドリンクとエナジードリンクの違いや、「どんな栄養成分が入っているの?」「何がどう効いているの?」といった疑問にお答えします。
ようやく朝晩はひんやりとした空気を感じられるようになってきました。9月が誕生日だったのワタシもついに55歳!還暦が迫りくる実感とともに不安定な天候や気温変化も影響して、ここ一番の頑張り時に眠気が襲ってきたり、パワー不足を感じたりすることが多い今日この頃……。
本来ならば自然な食材と休息で時間をかけて体力リカバリーをはかるべきところなのですが、そこはほら、ズボラで面倒くさがりで、無計画にガンガン仕事を詰め込むこの性格……。栄養士のくせに、つい「グイッと一発」で、短絡的にシャキッと感を得たいという誘惑に手を伸ばしたくなってしまうわけなのでございます……。
そこで今回は、エナジードリンクや栄養ドリンクについて「どんな栄養成分が入っているの?」「何がどう効いているの?」といった疑問や、身体にどんな影響があるかなどお伝えします。
目次
「エナジードリンク」と「栄養ドリンク」の違い
「栄養ドリンク」の多くは医薬品&医薬部外品
効果効能が記載されている「栄養ドリンク」は、医薬品・医薬部外品に分類されるものがほとんどです。目的に合わせた効果がある程度発揮されるように成分が配合されていて、パッケージにも「何のために飲むのか」目的に応じて選ぶことができるように表現されています。ただし、効果効能が過度な表現にならないよう薬事法の規制を受けています。
「エナジードリンク」は清涼飲料水
「エナジードリンク」は「清涼飲料水」に分類され、嗜好品的な飲み物という立ち位置です。スタイリッシュなパッケージデザインのものが多く、翼をさずけてくれたり元気ハツラツだったり、勢いのあるイメージのキャッチコピーがついていますが、具体的に「〇〇に効く」というような効果を示す表記はできません。気持ちを切り替えたり引き締めたり、勢いをつけたい時など「気分転換に」飲むことをイメージされた広告になっている場合が多いですね。
どんな成分が入っているのか?
ではいったいどんな成分がどんな効果を狙って入れられているのでしょうか?栄養ドリンクやエナジードリンクによく入っている成分として代表的なものを紹介します。
① 眠気防止&覚醒感UPに「カフェイン」
カフェインは中枢神経刺激作用・血管拡張作用があるので、一時的に眠気を覚まし、シャキッと覚醒して倦怠感を改善する作用が期待できます。適度に摂れば、代謝促進や脂肪燃焼効果も期待でき、ダイエッターの味方になり得る成分なのですが、摂りすぎは禁物!過剰摂取による事故も問題になっていますので摂取量には注意が必要です。
② 疲労回復と皮膚の健康に「ビタミンB群」
ビタミンB群は肉体疲労や眼精疲労の回復、皮膚の健康をサポートします。不足すると集中力の低下や、肩こり、血行不良、口内炎、肌荒れなどの症状が出やすくなります。
③ ストレスから身体を守り抵抗力を高める「ビタミンC」
ビタミンCは酸化ストレスから身体を守って抵抗力を高めることに貢献する成分です。不規則な生活やストレスがつらい時ほど体内で低下してしまうので、こまめに摂取する必要があります。また、コラーゲンの生成に関与していたり肌のシミを防ぐなど、美容をサポートしてくれる効果もあります。
④ 筋肉疲労の回復、代謝UPに「アミノ酸」
アミノ酸は筋肉を作る栄養素で、たんぱく質よりも体内への吸収が速く、ぐったり疲れた時の筋肉疲労を回復する働きがあります。特に体内のエネルギー代謝を活発にしてスタミナ増強に効く「アスパラギン酸」や脂肪燃焼・筋肉増加に効果的な「アルギニン」、お酒を飲んだ後の肝機能サポートに効く「タウリン」などは、栄養ドリンクによく配合されています。
⑤ そのほか生薬など
このような成分が眠気の防止や体力回復に役立っているのですが、こうしたドリンクの中にはよりシャキッとした覚醒感を強く出すために糖分がたっぷり入ったハイカロリーなものもあります。栄養士の立場としては、安易に手を出すことはあまりおすすめしません。
……しかーし!責任あるシゴトをしているとどんなに疲れていても眠くても、自身の身体にムチ打ってもうひと頑張りしなくてはならない時もありますよね。そんな時につい「助けて~」とドリンクに手を伸ばしてしまうこと、「絶対ダメ!」とは言い切れません(実際、私もやっちゃっていますしね)。
皆さまのその尊い頑張りの精神には本当に頭が下がりますが、どうかできるだけ……状況が許すのであれば安易にドリンクに手を伸ばすよりも「休息をとる」という選択をしていただきたいと、切に願います。
もしやむを得ず「グイっと」に助けを求める場合は、このコラムを参考に成分やカロリー、糖質量などに注意して、ご自身の状況や目的に合うものを選びましょう。
(執筆/タニタ研究員・西澤美幸)
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この記事を書いた人
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1968年生まれ。横浜国立大学在学中よりタニタの体脂肪計のプロジェクトチームに参加。入社後は、世界初の乗るだけではかれる体脂肪計や体組成計、活動量計などの開発に携わり、機器の要となる計測の回帰式や判定アルゴリズム作成を担う。
29歳で社内初の技術系女性課長に就任し38歳で出産。栄養士の資格も有し文部科学省の食育有識者会議委員を務めるなど、さまざまな計測データを健康づくりに活かす提案を行い、栄養士と技術者の2つの視点から多数のセミナーの講師も担当している。