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人生を変えるI amな本転職しても「また会社を辞めたい」ループに陥らないための「本音磨き」とは?

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人生が変わる I am な本。今回は佐野創太さんの著書『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)を紹介。

総務省の「労働力調査」によれば、転職希望者数は 2019 年に 800 万人だったのが、2020 年には819万人、2021 年前半は 841 万人と増加しています(実際に転職した人の数は 300 万人前後)。これからの時代、新卒で入った会社に定年まで勤め続ける人は少数派となるのでしょう。誰もが一度は転職を考え、実際にそれを行動に移す時代の到来です。


転職を考える人の大多数は、今の会社に不満・悩みがあるからだと思います。では、転職してそれが解消したかといえば、そうならない人が少なくありません。転職先でも前の職場と同じような悩みに直面し、「また転職したい」となるパターンがままあるのです。


転職がうまくいく人といかない人、その違いはどこにあるのでしょうか?

「退職したい!」は本音ではない?

それを「本音磨き」というキーワードで説くのは、佐野創太さん。佐野さんは、日本初、唯一の「退職学®︎」の研究家として、多くの転職・独立希望者の相談に乗ってきた経歴の持ち主。著書の『「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)では、転職前の「本音磨き」の有無が、転職活動の明暗を分けるとし、その重要性を訴えています。


ここで言う「本音」とは、「転職したい」というモヤモヤした悩みの奥にある本当の気持ち。ここをクリアにしないまま転職活動をしてもうまくいかないと、佐野さんは力説します。だから「本音磨き」が必要になるのですが、そのためのメソッドとして「退職成仏ノート」、「人間関係仕分けノート」、「明日への手紙」を挙げています。今回は、これら 3 つの手法について、かいつまんで紹介しましょう。

ステップ① ネガティブな感情を吐き出す「退職成仏ノート」

「本音磨き」の最初のステップとなるのが「退職成仏ノート」。ノートにネガティブな感情を吐き出し、
本音を把握するためのものです。本書から引用すると、細かい手順は以下のとおり。
(1) モヤモヤ、イライラした人の言動、職場での出来事を書く
(2) その中で自分がどう思ったかを書く
(3) どうしてその言動、シーンでモヤっとしたのか、イラッとしたのかの理由を書く(正しさや客観性はいりません。あなたが思ったことが正解です)
(4) 過去に似たような言動やシーンがなかったかを思い出し、書く
(5) 1 と 4 に共通する「私の大切な●●を傷つけている・無視している・蔑ろにしている」に行き着くまで考える

上の 5 に当たる部分が、あなたの本音です。この一連の作業によって、「心の底から大切にしたいこと」が敏感にわかるようになり、本音で判断できるそうです。より具体的には、「今の会社で働き続けようか」「内定をもらった先に転職しようか」を決めるにあたり、迷いがなくなると、佐野さんは述べています。

ステップ② 部署にいるあの人は「つながり」か「しがらみ」か?

次のステップは「人間関係仕分けノート」。これもノートに書き込みますが、今の人間関係を、「つながり」「しがらみ」「無関心」のどれかに分類するというものです。


ここでは、「つながり」は、会社を辞めてもまた会いたいと思えるほどのポジティブな人間関係を意味します。逆に「しがらみ」は、できれば二度と会いたくないと思うネガティブな人間関係です。どちらにも当てはまらない人は「無関心」に分類します。


このノートは、表形式にすると作りやすくなるそうです。以下に例を載せます。

このノートを作る目的は、ひとえに自分の本音を整理するため。特に、悪い人間関係は本音を曇らせ、「ヒビを入れる犯人」であると佐野さんは指摘しています。そこで、このノートづくりが重要になってくるわけです。また佐野さんは、本書において次のように解説を加えています。

実際にノートを作った相談者さんは「私が一緒にいて心地よいと感じる人たちの特徴がわかりました」や「力を発揮できる環境と抑えられてしまう環境があるんですね」と声を寄せてくださいます。転職活動でも面接や企業との何気ないメールのやり取りの中で「この会社は合うぞ」や「この会社は危険だと感じられるようになりました」と話す人もいます。最終面接では「私は貴社と相性がいいと感じています。なぜなら~」と理由を明確に話すことができて、第一志望の会社の内定を取ることができた人もいます。「この会社でやれることはすべてやろう」と、退職を踏みとどまる人もいました。(本書 156p より)

ステップ③ 最終出社日を想定して書く「明日への手紙」

最後のステップは「明日への手紙」。前の2ステップで書いた内容は、他者に見せないものでした。「明日への手紙」は、(手紙の受取人に)実際に見せ、読んでもらうかどうかは任意です。ただし、書いた手紙はデータで保存し、後に振り返りできるよう手紙を写真に撮っておきます。相手に渡さなくても、書くこと自体に大きな意味があるそうです。


「明日への手紙」は、最終出社日を想定して、「つながり」に分類した人に向け、「私はこれからも●●さんとつながり続けたいです」と意思表明するものです。佐野さんは、自身が書いた手紙のサンプルを載せています。介護離職で、約 3 ヶ月だけ仕事をともにした上司に宛てたものです。以下、抜粋しましょう。

●●さんとはもっと早く、もっと長く仕事をご一緒させていただきたかったと退職の今日を迎えて切実に思います。未来が見えず悩んでいた●●部署名●●チームを前に進めていただいたこと、緊張してうまく話せない営業の場に同行いただいたこと。
お礼の言葉が見つかりません。
また、退職をお伝えしてからも温かい言葉をかけていただき誠にありがとうございました。
ぎりぎりの精神状態を支えてくださったのは●●さんでした。
(営業の行き帰りの楽しいお話も、私にとってはとても楽しい思い出です。ありがとうございました)
(本書 228p より)

達意の文章にしようと頑張る必要はありません。内容以上に、手紙を書いているときに「本音を感じられたかどうか」が重要だからです。また、この手紙は「しがらみ」の人宛てに書いても効果があります。その効果とは、ネガティブな気持ちを吐き出すことで、恨みを完全に「成仏」させることです。転職してからも恨みとなって心の中に残りかねない気持ちを、ここで解消させるわけです。



以上 3 つのステップを地道に実践することで、本音が磨かれていきます。実際に行った人からは、「第 1志望の面接で意見交換の気分になって、その場で内定オファーをもらえました」「求人ページを見る段階で、“この会社は合わない”と判断できるようになりました」など、多くの反響があったそうです。転職しても「会社辞めたい」と、辛いループにはまる懸念がもしあるなら、本書を読んでトライしてみてはいかがでしょうか。

書名「会社辞めたい」ループから抜け出そう! 転職後も武器になる思考法
著者佐野 創太
出版社サンマーク出版
出版年月日2022/01/07
ISBN9784763139498
判型・ページ四六・271ページ
定価1,540円(本体1,400円+税)

この記事を書いた人

鈴木 拓也
鈴木 拓也
都内出版社などでの勤務を経て、北海道の老舗翻訳会社で15年間役員を務める。次期社長になるのが嫌だったのと、寒い土地が苦手で、スピンオフしてフリーランスライターに転向。最近は写真撮影に目覚め、そちらの道も模索する日々を送る。

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