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人生を変えるI amな本

人生を変えるI amな本『カメラマン視点で子育てしたら 双子が現役で京大に合格しました』が教えてくれる、親の関わり方

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田部信子『カメラマン視点で子育てしたら 双子が現役で京大に合格しました』

「子どもの将来のために、何かしてあげたい」

子育て中の保護者であれば、誰もが一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。早期教育、英語、習い事、受験対策。情報があふれる現代では、「何を足せばいいのか」に意識が向きがちです。

しかし本書『カメラマン視点で子育てしたら 双子が現役で京大に合格しました』(田部信子)は、その発想をいったん立ち止まらせます。著者が提示するのは、「何をするか」ではなく、「どう見るか」という視点です。

変えるのは子どもではなく、親の「見る視点」だと本書は語ります。

京大合格の裏側にあったもの

タイトルに「京大合格」とありますが、本書は受験テクニックを解説する本ではありません。むしろ著者は、合格は結果にすぎないと繰り返します。

双子は幼少期から特別に優秀だったわけではありません。癇癪もあり、忘れ物も多く、著者自身が「ザ・ふつうの子」と表現しています。小学校時代も、いわゆる“できる子”というタイプではありませんでした。

それでもふたりは、現役で京都大学(文学部・工学部)に進学します。

その背景にあったのは、特別な教育法ではなく、親の姿勢でした。

「カメラマン視点」とは何か

著者はプロのカメラマンです。その仕事の姿勢を、子育てに応用。カメラは、目の前にあるものしか写しません。被写体を否定せず、光を探し、最も輝く瞬間を待ちます。無理に形を変えることはありません。

この姿勢を子どもに向けたのです。

「できないこと」を修正するのではなく、「今あるもの」を見る。評価よりも観察を優先する。焦らず、子どもが動き出す瞬間を待つ。

本書の根底には、このスタンスがあります。

本書に書かれている具体的な実践

抽象論だけでは終わりません。本書では、具体的な関わり方が提示されています。

第1章では「7つのカメラマン視点」が紹介されます。

たとえば、

・「楽しませる」より「おもしろがる」
・「褒める」ではなく「感動を伝える」
・「期待」より「予測」
・「寄り」と「引き」で子どもを見る

いずれも、評価型の関わりから観察型の関わりへと転換するヒントです。

第2章では、環境づくりについて触れています。

・早期教育に飛びつかない
・「小さな賢さ」より「生きる力」を育てる
・正解のない世界で選ぶ経験を重ねる

また第6章では、スマホやゲームとの向き合い方も具体的に示されています。禁止するのではなく、家庭としての基準を共有するという考え方です。

中学受験や大学受験のエピソードも紹介されていますが、共通しているのは、親が主役にならないという姿勢です。

子供が「自分で決める」ことの大切さ

本書で印象的なのは、双子が同じ道を歩んでいないことです。

兄は高校3年の夏に志望校を変更し、自ら受験に向き合います。弟は学校行事に打ち込み、最後のタイミングで受験に集中します。

共通しているのは、「自分で決めた」という感覚です。親がレールを敷いたのではなく、レールを引きすぎなかった。その余白が、主体性を育てたと読み取れます。

親がやるべきことではなく、やらなくてもいいこと

多くの子育て本は、「やるべきこと」を増やします。本書は、「やらなくてもいいこと」に目を向けさせます。

・焦って足すこと
・周囲と比較すること
・親の期待を背負わせること

京大合格という強いタイトルの裏側にあるのは、静かな子育て論です。子どもを伸ばす方法ではなく、子どもを信じる方法ともいえます。

教育情報に振り回されがちな保護者にとって、一度立ち止まり、自分の視点を見直すきっかけになる一冊です。

この本をおすすめする人

・子どもの将来に不安を感じている方
・早期教育に違和感を抱いている方
・受験を前に、親の関わり方を見直したい方
・子どもの自主性を育てたいと考えている方

この本の目次

はじめに

・子育ての指針がほしかった
・「ふつうの子」だった双子
・変えたのは教育法ではなく“視点”

第1章 カメラマン視点で子どもを見る

・7つのカメラマン視点
・「楽しませる」より「おもしろがる」
・「褒める」ではなく「感動を伝える」
・「期待」しないで「予測」する
・「寄り」と「引き」で見る
・子どもの写真は育児の“お守り”

第2章 環境を整える

・早期教育という“安心材料”
・「小さな賢さ」より「生きる力」
・選ばせる経験の積み重ね
・家庭の空気を整える

第3章 就学前の環境づくり

・保育園選びの基準
・絵本は体験のタネ
・習い事との向き合い方

第4章 小学生時代の関わり方

・「教えない」という選択
・家庭学習の距離感
・兄弟げんかとの向き合い方

第5章 中学受験のこと

・受験は目的ではない
・合格者数より合格率
・親が主役にならない受験

第6章 YouTube・ゲーム・スマホとの向き合い方

・現代の“三種の神器”
・禁止ではなく基準づくり
・親の不安を押しつけない

第7章 中高6年間で育んだ学びの力

・英語は教科ではなくツール
・高校3年、志望校変更
・行事と受験のバランス
・「自分で決める」という経験

おわりに

・京大合格はゴールではない
・親の視点が変われば、子どもは伸びる

書名:カメラマン視点で子育てしたら 双子が現役で京大に合格しました
著者:田部信子

書名:カメラマン視点で子育てしたら 双子が現役で京大に合格しました
著者:田部信子
発売日:2024年
定価:本体1,700円+税
判型:A5判
ISBN:978-4-911158-83-1

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