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30cm四方に自分の世界観を表現!ハンドメイド、クラフト作家の世界観さく裂!30cm四方からはじめるスモールビジネス【第1回】

5月の特集は「棚貸ビジネス」。レンタルボックスを借りて自分の作品を販売する。棚貸をしている雑貨店と、実際に棚を借りて商品を販売するハンドメイド作家に突撃取材。ネット販売にはない魅力に迫る。

ハンドメイド作家にとって、自分の作品が店頭に並ぶことはひとつの目標。その夢を手軽に叶えられるのが、「棚貸し」と呼ばれる委託販売のシステムです。今やBASEやminneなどネット販売のサービスが充実し、無料で気軽に作品の販売ができる時代。しかし、「棚貸し」をはじめる雑貨店は後を絶たず、作家は続々と出店しています。委託販売料を払ってまでリアルな店舗で販売するメリットはどこにあるのでしょうか。その実情を、委託販売の雑貨店に取材しました。

どうしてネット販売じゃなくて委託販売なの

仮説①
ネットショップより委託販売の方が新しい出会いが豊富?!

今回、取材させていただいたHATTIFNATT(ハティフナット)吉祥寺店は、“森の中にある緑いっぱいの雑貨屋さん”をテーマにした、委託販売のハンドメイド雑貨店。

お店の外観や小窓のディスプレイなど、お店に入る前から“かわいさ”を求めるお客さんのハートを鷲づかみする演出が……。


そして、おとぎの世界につながるような小さなドアを開けて店内に入ると、圧倒される数のボックスが目に入ってきます。

スペースを提供する「棚貸しビジネス」って、どう成り立っているの?

店長の川口さんによると、こちらのお店では現在、170名ほどの作家さんの委託販売をしているとのこと。バラつきはあるものの、ボックスのレンタル料はおおよそ月額¥3,500〜¥4,500で、商品が売れたときの販売手数料が20%かかります。このボックス代と販売手数料で、ショップにかかる経費は十分賄えるそうです。

HATTIFNATTの雑貨屋さん店長・川口さん

レンタル料を払うならたくさんのお客さんに見てもらいたい!
集客はどのようにしているの?

HATTIFNATTの場合、正式名称に『Café & gallery』とつくように、お店の隣には若い女性ファンが多く訪れる系列のカフェが。その帰りにギャラリーに立ち寄る人や近隣の学生など、10代〜20代をメインにいろんな年代のお客さんが訪れるとのこと。

「カフェのファンでハンドメイドの魅力を知らなかった方、興味がなかった方にも足を運んでもらえるので、ネットショップよりも新しい出会いは多いかなと思います」と川口さん。

たくさんの作家の作品があるから、自分の作品にも興味を持ってもらえるかも!

委託販売って、稼げるの?

仮説② 
価格競争に飲み込まれると、ハンドメイド専業作家は不利?

ボックスを借りて商品を陳列するだけなら、なんだか気軽に始められそう。でも、きちんと収益をあげることはできるのかな?

(店内屋根裏ではギャラリー展示も可能)

「正直に言って、本業としてやっていける方はごく一部です」と川口さん。
その要因のひとつが、“価格の安さ”だと言います。

このお店は圧倒的に女性客が多いため、やはり売れ筋はアクセサリー系。様々なデザインのアクセサリーがボックスに並びますが、手に取られやすいのは安い商品なので、作家も値付けに頭を悩ましていると言います。

視線より上に配置されている棚では、下から見た時に可愛らしく見えるような工夫がされている

客層が若めなので購入金額の平均は2000円ほど。3000円を超えると正直あまり売れなくなるというのが、このお店の実情。さらに趣味でハンドメイドを楽しんでいる作家さんは、「材料代が賄えれば……」という考えから、1000円未満という利益度外視の値段をつけることも多いのだとか。

利益を上げたい本業の作家さんにとっては難しい問題かも……。

デパートなどの商業施設に出店する場合、販売手数料に50%前後かかると言います。当然、20%の手数料で販売できるこちらのお店よりも、商品の単価を高めに設定しないと利益が出ません。そうやって販売する場所によって、客層や値段を考えた作品づくりをしなければいけなくなり、やむなくこちらのお店を卒業される方もいるとのこと。

ちなみにこのお店で売り上げる方のひと月の金額を聞いてみたところ、「10万円以上という方もいらっしゃいます」とのこと。

10万円以上?!すごい! 私たちでも作れば稼げるかも?

固定のファンを持っている作家さんは、お店で入荷のツイートをすると連絡が殺到して完売してしまうこともあり、作家の持つセンスや発信力は、売り上げに大きく関わるようです。

活動のスタンスにもよるけれど、委託販売1店のみで収益を上げるのはなかなか難しそう。

委託販売は忙しい人に最適?

仮説③
普段忙しい人ほど、委託販売をはじめるべき!

最近では、今までネットでしか活動していなかった人が委託販売を始めるケースが増えています。川口さんはその理由を、

「ネット販売をする場合、ひとりで作品を作り、写真を何枚も撮り、文章を考え、掲載し、梱包し、発送する。本業にされている方ならまだしも、副業でご自身の仕事と並行してとなると負担も大きく、活動の幅が限られてしまうのではないでしょうか」

と言います。

marini*monteanyさん(マリーニモンティーニ) 併設されているカフェのイラストも制作された。.

確かに、ネット販売はやることが多くて大変。その時間を、作品の制作に当てたいかも……。

では、実際に委託販売店ではどのようなことをしてくれるのでしょうか。

こちらのお店で作家が行なうことは、

  1. 商品すべてに値札と商品番号をつける
  2. お店に納品、ディスプレイをする(遠方の場合、ディスプレイはスタッフが行なってくれる)

この2つの工程。

その先の

  • 接客(販売等のお客様への対応)
  • マーケティング(どんな人が購入したか、どんな商品の反応がよかったか)
  • アナウンス(SNSで入荷や特設ギャラリー情報の発信)
  • アドバイス(値付け、ディスプレイの仕方など)

に関しては、すべてお店のスタッフが行なってくれます。

副業、本業にかかわらず、慢性的に時間不足を感じていたり、「どうやったら売れるのか」と悩んでいる作家にとっては、「ボックス代を払ってでも……」と思うのもうなずける気がします。

次号に続く。

取材協力

ボックスの契約は最低3カ月から。ただし、3カ月契約で窓際のミニミニギャラリー1週間、6カ月で対面販売のできるどんぐりギャラリー3日間、1年間で屋根裏ギャラリー2週間の無料貸し出しという特典付き。ボックスだけではない販売方法が体験できる。

出店を希望する場合は、リンクのメールフォームに必要事項を記入して申し込みを。初めての場合は審査が必要。

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町2-22-1

TEL:0422-26-9110

営業時間:11:00〜19:00

​定休日:月曜日・第3火曜日(祝日の場合、翌日休み)

(その他お休みあり、SNSで要確認)

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取材/I am 編集部
写真/元家健吾
文/岡田マキ


この記事を書いた人

岡田 マキ
岡田 マキライティング
ノリで音大を受験、進学して以来、「迷ったら面白い方へ」をモットーに、専門性を持たない行き当たりばったりのライターとして活動。強み:人の行動や言動の分析と対応。とくに世間から奇人と呼ばれる人が好物。弱み:気が乗らないと動けない、動かない。
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