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もう写真で損しないための スマホでプロ級写真教室最初は写真が下手でも大丈夫!?商品写真を上手に撮りたい!【第 0 回】

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自分にしかできない仕事を求めて会社員からフリーライターに転身したkikko。夢を叶えたと浮かれていたがまさかの大ピンチに?!「え、ライターって写真も撮るんですか?!」いったいどうなる?さあ、kikkoと一緒に商品写真の撮り方をマスターしよう!

プロフィール

クックパッド専属カメラマン田部信子

クックパッド専属カメラマン。料理・人物を中心に撮影を行う。ダメアシスタント時代に撮影現場で何をしたら良いのか分からな過ぎて怒られ続けたことから、撮影の流れやコツを必死に言語化することに取り組む。それを元に作った講座が分かりやすいと人気になり、前職では写真教室を立ち上げ3000人に撮り方を教える。写真を撮るのに苦手意識を持つ人に、写真の楽しさを教えることに定評がある。

駅から 10 分ほど歩いただろうか。初秋とは言え、歩いていると汗ばんでくる。商店街を抜けると道の両脇に低層階のマンションや戸建ての住宅が立ち並ぶ静かな住宅街に入った。
沈丁花の香りも薄くなってきた。秋の風が気持ちいい。

新しいスタートには良い季節だな、とちょっと顔をあげて空を見る。

私は kikko。28 歳。大学卒業から 5 年間 IT 企業で営業サポートをやってきた。

ミーティングのセットや会議のパワポ作り、お客様からの問い合わせ対応。

仕事は楽しいっていう訳ではなかったけれど、お給料はまぁまぁだったし、残業も少ない。こんなものかな、と思ってた。

休日には友達と趣味のカフェやレストラン巡りをして、その記事をブログにアップする。最近ではいつも見てくれる読者さんもついてきて、私なりに充実した毎日を過ごしていると思ってた。このメッセージを見るまでは。


「kikko ちゃん、私の知り合いがライターさん探してるんだけどやってみない?」


大学時代の先輩から久々の連絡が来たのはそんな頃だった。仕事の傍ら長年書いていた私のブログを読んで、地方紙のライターという仕事を紹介したいというのだ。


小さい頃から旅行雑誌をくまなく読んでいた。知らない街の知らないお店。雑誌を読みだすと、その街に自分が行ったような気分になって楽しかった。いつかこんな雑誌を作りたい。そんな夢を抱いていたことを突如思い出した。


街の情報を自分の目線で拾い集めて、多くの人に届ける。そんな私にしかできない仕事ができるんだろうか。


できるかは分からない。でもやってみたい。

そして今年の年初、会社を辞めた。

ライタースクールでの半年間の猛勉強の後、先輩の紹介で隣町の情報誌の編集部と契約したのがひと月前。

そして遂に先週、はじめてライターとして「打ち合わせ」なるものに呼ばれた。
憧れのライターという肩書の名刺を持ち、ちょっと浮かれポンチになっていた私は、編集長のこの言葉で目が冷めた。


「写真もお願いしますね」


(え、写真ですか?私、ライター採用だと思ってたんですけど。カメラマンさんって別にいないの?)


私の頭はプチパニックに。


「あの、私カメラ持っていないんですけれど……。」

恐る恐る言ってみる。

「あ、大丈夫。スマホでも綺麗に撮ってきてくれれば平気だから」

嫌な汗がシャツの下で流れている。何を隠そう私は写真が本当に下手なのだ。
あぁ、本当にどうしよう。

茫然自失で固まっている私の前に編集長が立った。顔をあげると目の前に一枚の名刺が差し出されている。カメラマンの名刺だった。

「この人が写真の撮り方を教えてくれるから、そこに行って撮り方を習ってきてちょうだい」

そして、今私はその名刺を持ってカメラマンの事務所の扉の前に立っている。ため息とも深呼吸ともつかないものが口から漏れる。


扉には小さく「nocco の写真教室」とプレートがかけてある。ここまで来たら引き返せない。ドキドキしながら「えいっ」とインターフォンを鳴らす。


奥からドタドタと音がした。バンっと勢いよくドアが開いて、背の高い女性が顔をのぞかせた。


「こんにちは。あ、kikko さんね。聞いてます。入って入って」

と早口にまくしたてる。

カメラマンというと、真っ黒い服を着て近づきがたい人というイメージを持っていたが、そのイメージはあっという間に崩れ去った。でも、正直ちょっとほっとした。


部屋に通されると、天井の高い部屋の真ん中に大きなテーブルがひとつ。正面にはベランダに面した大きい窓。窓の脇にはソファーがひとつあった。


勧められて部屋の真ん中にあるテーブルにつくと、キッチンから nocco 先生が二人分のマグカップに入った紅茶を持ってきてくれた。

「編集長から聞いてるわよ。写真撮るのが苦手なんだって?」


ずばっと聞いてくる。


「はい、今までもスナップ程度しか撮ったことがなくて。自分がうまいか下手かすら分からない状態です。こんな私でも大丈夫でしょうか。」


うつむきがちに聞くと、先生はニコニコ笑っている。


「大丈夫よ。今まで教えてきたライターの先輩方も今は大活躍しているから。しばらくはここに通ってみて。一緒にがんばりましょう。」


編集部で活躍している先輩ライターたちも、初めは私と同じ素人だったのだと知ってほっとした。それなら私もできるかもしれない。


改めて、これから通うことになる部屋を見回して紅茶を一口飲んだ。

この記事を書いた人

田部信子
田部信子料理カメラマン
クックパッド専属カメラマン。前職では写真教室を立ち上げ3000人に写真の撮り方を教える。現在はクックパッドで「3ヶ月で撮りたい料理写真が撮れるようになる写真講座」を行う。”「奇跡の一枚」を「意図した一枚」に”をモットーに、一人でも多くの人が料理写真を楽しく撮れるようになるよう活動している。青山学院大学卒業後、日本IBMでのSE職からカメラマンに転身。双子の母。

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